幸田文 『きもの』
女ならではの意地の悪い文章
こんにちは。タヌキです。
最近、モーフィアスは 修士論文の中間発表に向けて、おこもりを発動しているので、面白くありません。
ムキーッ
モーフィアスの本棚も、しばらくは漁れないので、 当分はタヌキの本棚からのご紹介になります・・・。 くすん。
タヌキは幸田文 が好きであります。
なんだろう、読んでいて、女の血が騒ぐというか、 女ならではの意地の悪い文章が、ついつい後を引くのですよね。
初めて幸田文 を知ったのが、この『きもの 』でした。 自伝作品なのに、作品の中で主人公である自分のことを、あたかも客観的に、善いように捉えすぎているし、姉たちを魔物か何かのように、これでもかとこき下ろしている。 そのへんがなんだかとっても癪に障ったのですが、それがかえって面白く、最後まであっという間に読んでしましたました。
つまりはこの作品にハマってしまった私も、自意識過剰なヒロイン思考の嫌な女なのだろうなと、気づけば読み終えたあとほくそ笑んでしまっていました。これは実によく出来た小説だと思います。
また、タヌキがこの作品を好きな理由はもう一つあって、それは東京かぶれの心を、これでもかと揺さぶってくるからなんですよね…! 江戸っ子気質の色濃く残った東京の人々の描写が、新鮮で新鮮で!
タヌキは関西の山奥から出てきているので、こうした「イキ」で「イナセ」なかんじ?っていうのでしょうか、それがたまらなく面白いんです。
このお話は、「着物」でたどる女の半生を描います。女性と着物って、いつの時代も切り離せないテーマですよね。女の性が色濃く浮き出るテーマをもってして、惜しげも無く女性の醜さ、見栄、悲しさを大胆に描き、それを見事に作品として昇華させた作品です。
男性がこれを読んでどう思うか想像もつきませんし、さして興味もないです。これは女性に、すべての女性に読んでいただき、かたっぱしから感想を聞いてみたい。笑
ちなみに、作者の幸田文は、日本史の教科書にも出てくる、幸田露伴の娘です。(モーフィアスの影響で、「露伴」と聞くと、岸辺露伴 のほうが先に頭に浮かぶようになってしまいました…)父である幸田露伴についての本 もいくつが出ています。
幸田文 の他の作品についても、今後ご紹介したいと思います。
それではそれでは。
ぽんぽこ